デジタルマップとは、スマートフォンやタブレット端末などのデジタルデバイスで扱えるようデータ化した地図のことをいいます。
デジタルマップは、道路画像や航空画像などから得られるデータに応じて作成され、紙の地図と比べ最新の情報がすぐに取得できます。また、現在地や目的地の位置情報をすばやく把握できるほか、書店で購入せずに利用できる利便性が特徴です。
デジタルマップは主にブラウザで閲覧できるサービスが多く、Googleマップが代表的といわれています。
2025.09.26
Monthly Feature
デジタルマップとは?作り方や観光などの活用例を解説

デジタルマップは生活やビジネスにおいて役立つほか、ユーザー情報をもとに集客率や購買率の向上が期待でき、マーケティングとしても活用できます。この記事では、デジタルマップの作成や活用例などを具体的に解説します。
Contents
デジタルマップとは
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デジタルマップを活用したサービスの一例
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さまざまなサービスで、デジタルマップの活用が始まっています。ここでは、デジタルマップを活用したサービスの例を紹介します。
施設案内マップ
デジタルマップの身近な例として挙げられるのは、施設案内マップです。主に大型商業施設などで、デジタルマップが導入されています。たとえば、GMS(総合スーパー)のイオンは、各店舗で紙のフロアガイドをデジタルマップに置き換えています。イオンモールアプリ内のフロアマップ、公式サイト内のフロアガイドの利用を呼び掛けている点がポイントです。CO2の削減、資源の有効利用、顧客の利便性向上を目指した取り組みといえるでしょう。
出典:イオンモール高知「紙のフロアガイド 設置終了のお知らせ」
https://kochi-aeonmall.com/news/information/557
観光案内マップ
デジタルマップは、観光案内マップにも幅広く活用されています。デジタルマップ内に、地域の観光情報を集約できるためです。初めて訪れた方であっても、効率よく観光地をめぐれる可能性があります。デジタルスタンプラリーと相性がよい点もポイントです。隠れた地域の名所をスタンプスポットに設定することで、新たな人の流れを生み出せます。利用者の動向を把握して、デジタルマーケティングに活用できる点も魅力です。
防災情報サービス
デジタルマップを、防災情報サービスに活用することもできます。視覚的に危険性を把握しやすい点が魅力です。たとえば、大雨が予想されているときに地図情報と被害予測を重ね合わせて表示するなどが考えられます。エリアごとの危険性を理解できるため、避難計画や防災計画を立てやすくなります。位置情報を活用することで、最適な避難経路や最寄りの避難場所を確認することもできるでしょう。
地図情報サイト
地図情報サイトも、デジタルマップを活用しているサービスのひとつです。具体例として、GoogleマップやNAVITIMEがあげられます。目的地までのルートを検索したり、周辺にある店舗を調べたりすることができます。デジタルマップの機能を体感しやすいサービスといえるかもしれません。また、交通情報をリアルタイムで表示するサービスもあります。このようなサービスでは、交通渋滞や通行止めなどを回避するルートを検索できます。
デジタルマップのメリット
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ユーザーが操作しやすい
デジタルマップはGPS(位置情報)を通じて、現在地から目的地までのルートをすばやく検索し表示します。また、状況に合わせ地図上でのズームインとアウトが容易であり、詳細情報や広域情報の切り替えが柔軟にできることが特徴です。
デジタルマップはスマートフォン上やタブレット端末上で閲覧するため、紙の地図と比べ、かさばらず片手で見られます。
これらの利便性から、デジタルマップは周遊における地図としても最適な地図といえるでしょう。
情報の拡張性が高い
デジタルマップは、アップデートに応じて最新の情報を表示でき、施設情報や混雑情報などの詳細を地図上において閲覧が可能です。
また、ユーザーの目的に合わせて機能や地図をカスタマイズができるため、より利便性が高く効率のよい使い方で利用できます。
さらに、デジタルマップは多言語に対応しているものが多くあり、なかには音声ガイドが実装できるものもあります。
デジタルマップでは、おすすめスポットや施設の紹介を盛り込んで作成できることがメリットのひとつといえるでしょう。
これに応じて、観光ガイドやテーマパークなどの魅力を豊富に取り入れ、独自の地図作成ができるのです。
インバウンド対策になる
デジタルマップをインバウンド対策としても活用できます。
【取り組みの例】
- ・多言語で地図情報を表示する
- ・デジタルマップ内に多言語の画像や動画を埋め込む
紙の地図でこれらの機能を取り入れるのは難しいです。2024年における訪日外国人旅行者数は3,687万人ですので、多言語対応が可能になる点は、デジタルマップの大きなメリットといえるでしょう。
出典:国土交通省観光庁「訪日外国人旅行者数・出国日本人数」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/tokei_hakusyo/shutsunyukokushasu.html
他のツールと連携して利便性を向上できる
関連するツールと連携して、ユーザーの利便性を高められる点も魅力です。たとえば、OTA(オンライン旅行代理店)と連携してマップ上にホテルの空室情報を表示する、SFA(営業支援ツール)と連携してマップ上に顧客情報を表示するなどが考えられます。アイデア次第で、これら以外の活用方法も検討できるでしょう。地図を起点に、さまざまなサービスを展開できます。
マーケティングとの相性が良い
デジタルマップを活用すると、集客率の向上が見込めるほか、ユーザーへ効率的に情報を共有できます。
以下で、デジタルマップを活用したマーケティングの一例をご紹介します。
スタンプラリーキャンペーン 特定エリアに観光客向けスタンプラリーを設置。
ユーザーはスタンプを集めて得られる特典の獲得を目的とするため、各施設への集客率を上げるほか購買率の向上が期待できる。クーポンの配信 スタンプラリーと同様に、スポットごとにクーポンを配信できる。
これに応じてイベントへの参加率向上も期待できる。プッシュ通知 ユーザー向けに最新のお得な情報やイベント情報を配信して訪問するきっかけをつくり、集客率・購買率向上が期待できる。 ユーザー情報の収集 デジタルマップを利用したユーザーの移動経路やインバウンド情報、アクセス数の多い時間帯などのデータを取得。
それをもとに、マップの改善や最適な観光ルートの設定で集客率向上が期待できる。
デジタルマップのデメリット・注意点
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デジタルマップにはメリットが多くある一方、適切な運用をしなければデメリットが生じてしまう場合もあるでしょう。
ここでは、デジタルマップの導入において気を付けたいことをまとめました。トラブルを事前に回避できるよう、以下を参考にしてください。
セキュリティやシステムトラブルなど技術的な内容の考慮が必要
例えば以下のような、デジタル特有の工数が生じます。
・セキュリティ面での配慮が必要になる
・マップがうまく表示できない・動作しない時の対応を考える
・マップにアクセスするQRが読み取りづらい時の対策を用意する
ユーザーが不満にならないために、デジタルマップを活用する際はデジタル専任者を配置しましょう。
もしも周りに専任者がいなければ、専門家に相談してください。
紙との棲み分けが必要
デジタルマップはコンパクトで場所をとらず、デバイスの光があるため暗い場所でも閲覧できる利点があります。
一方、紙の地図には印やマークを直接書き込んだり付箋を貼ったりすることで、注意したい点や目印を自由にマーク付けができます。もちろんデジタルマップでも、保存機能をつけてマイページから保存したポイントのみを見る等、類似する使い方は可能ですが、どこにでも好きなように書き込みができる自由度は紙の地図の方が優位でしょう。
デジタルマップと紙の地図にはそれぞれ利便性があるため、用途に合わせて使い分けるとよいでしょう。
運用に別途工数がかかる
これまでの業務をデジタルマップに移行する場合、システムの構築をはじめ、選定・検討・多様なシミュレーションなど、さまざまな工数がかかることで時間を要します。また、移行に関して人件費がかかるほか、ネットワーク環境を整備したり、独自に開発または既存のマップシステムを導入する費用、施設などで設置したい場合にはデバイスの購入が必要だったりと、あらゆる面で費用がかかるでしょう。
工数や費用の削減のほか効率のよい作成方法の検討で、デジタルマップへスムーズに移行できると考えられます。
情報量が多いと視認性が低下する
デジタルマップの魅力は、さまざまな情報を一元的に掲載できることです。この機能により、ユーザーの利便性を高めたり、消費を促したりできます。ただし、情報量が多すぎると、視認性が低下することがあります。たとえば、マップ上にあるすべての建物の名称を表示すると、目的の情報を見つけにくくなるでしょう。ユーザビリティの低下により、サービスの利用を敬遠される恐れがあります。ユーザー目線で、表示する情報を取捨選択することが大切です。
デジタルマップの機能・活用例
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デジタルマップでは、おすすめスポットや店舗の紹介ができるほか、ユーザーがイメージしやすい表示やモデルコースの提案など、優れた機能が豊富に搭載されています。ここでは、デジタルマップの主な機能と活用例についてご紹介します。
イラストやアニメーションの素材で魅力的な地図を作れる
デジタルマップでは、衛星画像や3D地形など視覚的に分かりやすい機能を組み込めます。さらに、関連性のある情報を重ね合わせることで一目で状況を把握でき、より利便性の高い地図の作成が可能です。
さらに、ターゲットに合わせてアニメーションを入れたり、ユーザーの目を引くデザイン性の高いハイセンスなイラストマップを入れたりすることも可能です。ほかにも、位置情報と連動させた古地図で、歴史的名所を当時の古地図で巡るといった活用例もあります。
用途に合わせた地図を作れることが、デジタルマップの魅力ともいえるでしょう。
ユーザー行動から最適な施策を提案する
デジタルマップでは、ユーザーの位置情報からデータの収集が可能であり、性別や年代に加え、移動距離や滞在時間などの行動データを知ることができます。これらの情報をもとに周遊状況を分析し、新たな立案に役立てられるでしょう。また、カテゴリを設けることもできるほか、ユーザーの行動データから今度はPR企画などで観光スポットやモデルコースの提案ができます。
リアルタイムで混雑情報や交通規制を連携して表示すると、ユーザーは効率よく行動でき周遊性を高められるでしょう。
イベントやクーポン情報を表示する
ユーザーが利用する施設に紐づいたイベント情報をデジタルマップに配信することで、よりアクティブな行動を促進できるでしょう。
イベント内容を日別で表示したり検索機能を設定したり、表示方法を多様に設けることで、ユーザーの利便性を図り需要が高まると考えられます。
さらに、電子クーポン情報の表示で集客率と購買率の向上も期待できます。
GPSのスタンプラリーイベントを企画する
デジタルマップ上にGPSスタンプラリー機能を実装すると、地域やテーマパークにおける回遊を動機付けられるため、ターゲット地点や見どころである場所にユーザーを誘導できます。GPSスタンプラリーでは、ユーザーがデジタルマップ上に設けているチェックポイントを目指して回遊します。そして、目的地点に到着した際にマップ上の地点アイコンをタップしたりQRコードを読み込むことで、スマートフォンのGPS情報を読み取って、スタンプが貯まる仕組みです。
貯まったスタンプを特典と交換したり電子クーポンと引き換えたりすることで、集客率や回遊施策の向上が見込めます。
さらに、Wチャンス賞などの特典応募も設けることで当選者の応募情報を介してユーザーの分析が可能であるほか、次回につながる最適な施策の立案ができるでしょう。
デジタルマップの活用事例
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続いて、デジタルマップの具体的な活用事例を紹介します。
紙の地図からデジタルMAPへ変更したショッピングモールの事例
紙の地図をデジタルマップへ切り替えた事例です。各エリアの情報をデジタル化するとともに、目的地までの経路を検索できるようにしています。モール内の店舗、トイレ、駐車場などを検索できる点もポイントです。デジタルマップへ切り替えたことで、200店舗以上の中から目的の店舗を速やかに探せるようになりました。初めてモールを訪れた方が、迷うことも少なくなっています。デジタルマップの導入で、利用者の利便性が大きく高まった事例です。
大河ドラマを活用したデジタルラリーの事例
デジタルマップを、デジタルラリーに活用した事例です。大河ドラマの登場人物にゆかりのあるスポットを訪れると、デジタルスタンプを獲得できます。条件を満たして抽選に応募するとオリジナルグッズが当たる点もポイントです。同イベントは、周遊観光推進事業の一環として実施されました。地域の歴史を学べる魅力的なデジタルマップの活用方法です。
歴史上の人物のゆかりの地を巡るデジタルラリーの事例
歴史上の人物にゆかりのあるスポットを巡るデジタルラリーに、デジタルマップを活用した事例です。集めたデジタルスタンプの数に応じて抽選で景品が当たります。地域の店舗で利用できるクーポンを掲載したり、歴史を学べるスポットを紹介したりしている点が特徴です。さまざまな情報を掲載しているため、スタンプ獲得以外の方法でも観光を楽しめます。
デジタルマップを構成するレイヤーの種類
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デジタルマップは、情報ごとに分けられた複数のレイヤーで構成されています。ここからは、デジタルマップを構成するレイヤーについて解説します。
道路ネットワークデータ
道路に関連する情報をまとめたデータです。具体的には、以下の情報などを含みます。
【情報の種類】
- ・道路の種類(高速道路・国道・県道など)
- ・道路の幅
- ・車線の数
- ・規制情報(進入禁止・一方通行など)
道路ネットワークデータは、ルート検索に欠かせないデータです。主にカーナビなどで活用されています。
検索データ
住所や施設名などに、緯度と経度を付与したデータです。このレイヤーがあることで、特定の住所や施設をピンポイントで表示できます。紙の地図との違いを生み出しているデータといえるかもしれません。デジタルマップを構成する重要なレイヤーと考えられます。
表示地図データ
デジタルマップをデバイス上に「地図」として表示させるデータです。簡単に説明すると、デジタルマップに表示される絵といえるでしょう。具体的には、建物、道路、鉄道、河川などを表現するポリゴンデータ、アイコンデータなどを指します。多言語注記を行うことも可能です。
デジタルマップの作り方・手順
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デジタルマップの導入を検討している方は、豊富な実績を誇る株式会社エイエイピーにご相談ください。目的にあわせたサービスのご提案が可能です。弊社におけるデジタルマップの基本的な作り方は以下の通りです。
【制作の流れ】
- ヒアリング:目的・課題・要件を整理したうえでお見積もりを行います
- 運用設計:簡易的なサンプル(モックアップ)をご提示します
- ご契約:仕様をご確認いただき、問題がなければご契約を締結します
- 校正・校了:デザイン、地点情報、利用規約の文章などの不備を正します
- 運用開始:デジタルマップを公開します
- 運用~分析:ユーザーのデータを提供します(分析レポートの提出も可能です)
初期設定から運用まで幅広くサポートしています。さまざまなデジタルマップシステムに対応しているため、最適なご提案を行える点も弊社の強みです。
この記事では、デジタルマップの概要をはじめ、メリットや目的に沿った活用法をご紹介しました。
デジタルマップは地図として活用するだけではなく、最新の道路状況や適切な経路の提案など、利便性の高い機能が満載でありユーザーからの需要が高いツールといえます。また、スタンプラリーやイベント情報の配信のほか、ユーザー情報の分析でマーケティングにおいても効果を発揮し、多様な方法で集客率や購買率を向上できるでしょう。さらに、デジタルの取り組みを通して課題解決や施策の幅が広がると考えられます。デジタルマップの導入で地域や観光地の活性化が期待できるため、検討してみてはいかがでしょうか。
当社では、デジタルマップを含めた観光・周遊の企画・実行までをサポートしています。広告商社の強みを生かしながら、デジタルと紙の地図、両面からアプローチし、ご予算やご状況に応じた施策を提案いたします。
ご興味がございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。