採用サイトに社員のインタビューを掲載する目的は、求職者に自社の雰囲気を伝えて応募の後押しをすることです。
「社内の空気は自分に合っているだろうか」「自分が活躍できる場はあるのだろうか」などの不安を抱いている求職者にとって、社員インタビューは社内の様子を知るための貴重な情報源です。社員のリアルな声に接することで不安を払拭できるだけでなく、企業に対する理解や信頼が深まり、自身に合った企業を選択するうえでの判断材料として活用できます。
2024.11.25
Monthly Feature
【65の質問例】採用サイトに社員インタビュー!メリット・手順別ポイントも
採用サイトとは、企業が求職者に向けて作成するWebサイトです。複数の企業情報がまとめて掲載されている採用のポータルサイトとは異なり、自社に興味を持っている求職者に魅力をアピールできる利点があります。
採用サイトや採用パンフレットのコンテンツとして、近年、社員インタビューを掲載するケースが増えてきました。ここでは採用サイトのメリットや、インタビュー記事を作成する際のポイントをご紹介します。
Contents
採用サイトに社員インタビューを掲載する目的
社員インタビューを掲載するメリット
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社員のインタビューを採用サイトに掲載することは、求職者にとっても採用する側の企業にとっても大きなメリットがあります。ここでは、主なメリットを3つご紹介します。
採用時のミスマッチを防げる
採用におけるミスマッチとは、業務内容・条件面・社風などに関して、求職者と企業の間に認識のずれが生じて、双方の要望がかみ合わなくなる状況です。社員インタビューを掲載することで、ミスマッチを防げます。
ミスマッチが発生する原因の一つは、求職者が漠然としたイメージで企業を選ぶことです。現役の社員が仕事内容や社内の雰囲気を語ることは、求職者が企業を理解する手助けとなり、ミスマッチの防止につながります。採用時のミスマッチが防げれば、内定辞退や早期退職の減少も期待できます。これは求職者と企業それぞれにとって、大きなメリットです。
求職者に具体的な働き方をイメージしてもらえる
社員インタビューを掲載することで、求職者に入社後の働き方を具体的にイメージしてもらえます。社会人経験のない新卒者の場合、会社で働くこと自体をイメージしづらいといえます。社員インタビューを通して働く社員の姿を知ることができれば、入社後に働く自分の姿をイメージしやすくなるでしょう。これによって応募の後押しが可能です。
イメージが明確になることで、求職者は書類選考や面接の際に自身について具体性を持ってアピールできるようになります。企業にとっても、自社にマッチした人材を探しやすくなるといえます。
社内コミュニケーションが活性化する
社員インタビューは、求職者だけでなく社内でも共有されます。他の部署の人や業務について深く知る機会となるため、社内コミュニケーションの活性化が可能です。
また、インタビュー対象に選ばれた社員にとっては、やりがいや目標を改めて語ることでモチベーションの向上につながります。
社員インタビューで行う質問の内容
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効果的な社員インタビュー記事のページ・パンフレットを作成するには、質問内容の吟味が重要です。ここではおすすめの質問項目を8つ、実際の質問文と質問する狙いとともにご紹介します。
プロフィール
● 入社して何年ですか。
● 出身地はどちらですか。
● 出身校はどちらですか。
● 学生時代に取り組んでおけばよかったと思うことはありますか。
● 学生時代にはなにを専攻をしていましたか。
● 自分の長所はなんだと思いますか。
● 理想の先輩や上司はいますか。
● なにか得意なことはありますか。
● 座右の銘はありますか。
● 趣味はありますか。
● 自分を一言で表すなら?
インタビューの冒頭には、インタビューを受けた社員のプロフィールを掲載することが有効です。求職者が自分との共通点を見つけるための手掛かりになります。
プロフィールに掲載する項目の例は以下のとおりです。
● 入社年
● 出身地
● 出身学校
● 入社までの経歴
● 部署
● 趣味
求職者はこれらの内容を知ることで、社内にどのような社員がいるかをイメージします。また、求職者との共通点があれば、より興味を持ってインタビューを読んでもらうことが期待できます。なお、プロフィールを載せる際は社員本人の同意を得たのち、プライバシーに配慮した形式で掲載するよう心掛けましょう。
入社した理由
● あなたはどこで自社を知りましたか。
● なぜ自社を選びましたか。
● 入社前後で会社に対しての印象に変化はありましたか。
企業のどのような所に共感して入社を志望したのかを語ってもらいます。応募を迷っている求職者にとって、先輩社員の入社のきっかけは重要な情報です。内容によっては求職者の応募のハードルを下げることにもつながります。また、こうした記事を読むことで、求職者がぼんやりと抱いていた志望動機が徐々に明確になることもあります。応募しようという気持ちが高まることも期待できるでしょう。
仕事内容
● 1日の仕事の流れを教えてください。
● 部署またはチーム内でどのような役割を担っていますか。
● 仕事の質を向上させるためにどのようなアクションを取っていますか。
● 趣味や特技が仕事に役立ったことはありますか。
● 部署またはチーム内で意見が食い違ったときはどのように解決していますか。
● あなたが仕事をする上で必要だと感じるスキルはありますか。
● 仕事をする上で大切にすることを教えてください。
● これまで一番大変だった仕事を教えてください。
● 最も喜びを感じた仕事を教えてください。
● 新入社員へのフォローはどのように行っていますか。
● 仕事を通して成長を感じる点はありますか。
仕事内容についての質問は、社員インタビューに欠かせないものです。日々どのようなスケジュールで何の業務を担当しているのか尋ねましょう。掲 載する際に は、1日のタイムスケジュールを図にまとめておくとより伝わりやすくなります。1日の流れを話してもらうことによって、社員が社内で働く姿がイメージしやすくなるほか、企業が担っている社会的役割も伝えられます。また、業務において残業の発生がある場合、そうした面も隠さず伝えることによってミスマッチの防止が可能です。
職場環境
● 所属するチームの紹介をしてください。
● 社内でも部署ごとにギャップを感じたことはありますか。
● 職場の雰囲気はいかがですか。
● 転勤や異動はありますか。
● 同じ部署またはチームの人とはどのようにコミュニケーションを取っていますか。
● 社内イベントはありますか。
● 社内制度や福利厚生について、特によいと感じた点を教えてください。
● 職場環境や福利厚生などに関して、改善を感じる点や改善のためのアイデアはありますか。
● 入社してよかったと感じるポイントはありますか。
● 会社が行っている事業についてどのように考えますか。
職場環境・社風・組織特有の文化は、求職者が知りたい内容の一つです。「同僚や上司とは普段どのようにコミュニケーションをとっているのか」「社内イベントにはどのようなものがあるか」などの話題を交えましょう。また、入社する前と後に感じたギャップがあれば、話してもらうことをおすすめします。そのような経験談の掲載は、ミスマッチ防止に役立ちます。
漠然とした言葉ではなく、できるだけ具体的なエピソードを話してもらえれば、読み手に伝わりやすい内容になるでしょう。
仕事のやりがいや達成感
● 仕事を通して身に付いたスキルはありますか。
● 社会に良い影響を与えたと思う仕事はありますか。
● 誰かから感謝されたエピソードはありますか。
● 困難なことがあった場合、どのように乗り越えていますか。
● お客様や取引先と接して印象に残っているエピソードはありますか。
● やりがいを感じる瞬間について教えてください。
● モチベーションはどのように維持していますか。
● 上司から受けたアドバイスで大切にしていることはありますか。
● 「自分の仕事が評価されている」と感じることはありますか。
● 開発に携わったプロジェクトで印象に残っていることはありますか。
● 仕事に関して「これだけは誰にも負けない」と思うものはありますか。
「どのようなときにやりがいを感じるか」という質問で、仕事の魅力をストレートに聞き出すことも大切です。入社してから今までの成功体験や、乗り越えてきた苦労、達成感を覚えた瞬間などを、生き生きとした言葉で話してもらいましょう。仕事の重要性や社会的価値について求職者が理解を深めるきっかけになります。また、仕事のやりがいや達成感を伝えることで、「入社後、自分に何ができるだろう」と不安に思っている求職者に、自社の魅力を伝えて応募を後押しできます。
休日の過ごし方
● どのように休日を過ごしていますか。
● 家族や友人と休日になにをしますか。
● 仕事とプライベートは両立できていますか。
● おすすめのリラックス方法を教えてください。
● 理想のライフスタイルを教えてください。
● 業務終了後はどのように過ごしていますか。
● 長期休暇はなにをしていますか。
業務終了後や休日の過ごし方など、仕事以外のプライベートな内容を盛り込むことで、インタビュー対象の社員に対し親近感を持ってもらえます。趣味やレジャーの話題を交えることで親しみが増し、入社を志望する気持ちが高まるでしょう。
また、プライベートタイムを楽しむ姿によって、時間的に余裕のある会社だとアピールできます。近年、ワークライフバランスを重視する求職者が増えており、オフタイムに関する話を盛り込むことで、「プライベートな時間はどの程度あるのか」という疑問の解消につながります。ただし、プライベートに関する内容を公開することで、インタビュー対象である社員に抵抗があるケースも考えられます。社員インタビューを行う際は、協力してもらう社員に確認を取りながら、無理ない範囲で聴取することが大切です。
今後の目標
● 仕事に関して目標はありますか。
● 挑戦したい業務やポジションはありますか。
● 目標を達成するために取り組んでいることはありますか。
● 今後身につけたいスキルはありますか。
● 取得したい資格はありますか。
● 所属する部署やチームの目標があれば教えてください。
● 目標達成に向けて、どのような障害が予測されますか。
● 今後のビジネスプランがあれば教えてください。
● 会社全体の今後のビジョンがあれば教えてください。
今後の目標として「どのような業務にチャレンジしてみたいか」「考えているキャリアプランはあるか」などを尋ねましょう。求職者は社員の目標を知ることで自身のキャリアプランをイメージしやすくなり、入社後の自分に明るい展望が持てるようになります。
仕事内容に留まらず、個人的な目標を語ってもらうこともおすすめです。さまざまな目標を語る社員がいることは、多様性に富んだ会社であるというアピールにつながります。
求職者への一言
記事の最後には、社員から求職者に向けての一言を添えます。「どのような人と一緒に働きたいか」「就職に向けてどのような活動をすればよいか」などの内容を、社員からのメッセージとして語りかけてもらうことが大切です。求職者の入社意欲を引き出す効果が期待できます。新卒者に向けてなのか、あるいは途中採用者に向けてなのかを明確に意識してメッセージを発信することで、求職者の気持ちを後押しできるでしょう。
インタビュー開始前のポイント
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採用サイト・パンフレットにかかわらず、質問内容以外にも社員インタビューを作成する際に気を付けたいポイントがあります。ここからは、インタビュー対象者の選考や写真の活用などについて解説します。
採用ターゲットに近しい社員を選ぶ
インタビューの対象には、企業が求める人物像にマッチした社員を選びましょう。その人物像に近い人に応募してもらえる確率が高くなるためです。
また、求職者と年齢や境遇が近い社員をインタビュー対象に選ぶことも重要です。たとえば、新卒者をターゲットにする場合は、新卒で入社した若手社員にインタビューすることをおすすめします。入社から1年後・2年後・3年後の若手社員に、それぞれ話が聞けるとよいでしょう。中途入社の求職者をターゲットにする場合は、別の企業での職務経歴を持つ社員にインタビューします。
求職者が憧れや親しみを感じる社員にインタビューすることによって、求職者が欲しいと思う情報を効果的に伝えられます。
さまざまな社員のインタビューを掲載する
インタビューする社員を選考する際は、職種・性別・年齢などが偏らないようにすることも重要です。一般職か総合職か、新卒入社か中途入社かなどの点も踏まえて、対象となる社員を選びましょう。さまざまな社員の声を掲載することによって、記事の内容が豊かになります。また、多様な社員が活躍できる場であることもアピールできます。企画の内容によっては、2人での対談形式や、3人での座談会形式をとるのもよいでしょう。
顔出しOKの社員にインタビューする
写真や動画は、文字では伝わりにくい情報を求職者に提供できます。そのため、顔を出すことの了承を事前に得られる社員にインタビューすることが大切です。インタビューした人の顔を出すことで、どのような人が勤めているのかが分かります。会社を身近に感じる効果を期待できるため、顔出しの記事がおすすめです。
なお、顔を出すことに抵抗がある社員もいることを理解し、無理強いすることは避けましょう。
インタビュー時のポイント
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インタビューをする際には、以下のポイントを意識することが大切です。
・質問票を事前に用意する
・情報を引き出しやすい質問形式にする
・コンセプトに合った撮影場所を選ぶ
それぞれのポイントについて詳しく解説します。
質問表を事前に用意する
インタビューをスムーズに進めるために、質問表は事前に用意しましょう。その場で質問を考えると聞きたい内容を聞き出せなかったり、インタビューがスムーズに進まず必要以上に時間を使ったりします。質問表を作成して、インタビューの対象者に事前共有しましょう。
情報を引き出しやすい質問形式にする
質問を決める際は情報の引き出しやすさも意識しましょう。「はい」または「いいえ」で答えられる質問では、深掘りできないことがあります。また、インタビュアーが矢継ぎ早に質問すると、相手は考える時間がとれません。相手のペースに合わせて質問することで、細かく情報を引き出せます。質問形式とともに時間の配分も決めましょう。
コンセプトに合った撮影場所を選ぶ
社員インタビューは、文章だけではなく写真もあるとよりイメージがしやすいでしょう。そのため、写真の撮影場所選びは重要です。例えば、社内の雰囲気を伝えたい場合にはオフィス内、会社環境をアピールしたい場合には近くの屋外など、コンセプトに合った場所を選びます。また、社内の写真は殺風景な印象になりやすい傾向があるため、角度や背景などの工夫が重要です。
記事作成時のポイント
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社員インタビューでは質問内容や流れを工夫することに加えて、興味を持ってもらうための記事作成が重要です。そこでここからは、記事作成時に意識するポイントをご紹介します。
全体のストーリー構成を考える
質問への回答を単純に記載するのではなく、全体で1つのストーリーになるよう構成します。
例えば、業務を進める上でぶつかった壁についての内容を記載した後、それを乗り越えてプロジェクトを成功に導いた話へ続けます。ストーリー構成にすることで読みやすくなるため、会社の魅力や仕事のやりがい、働きやすさなどについて分かりやすく伝える意識をしましょう。
インタビュー時の言葉をそのまま使う
対象者の人となりを伝えるためには、その人が発した言葉をニュアンスまで含めた再現が大切です。インタビューをする際には録音を行い、回答者の等身大の言葉をそのまま記事に使いましょう。回答者の人となりが伝わる文章は、求職者の心に響くでしょう。
求職者の視点で作成する
社員インタビューは、求職者の視点での作成が重要です。求職者が知りたいことを意識し、必要な情報を漏らさず伝えましょう。会社のどこをアピールするかを事前に決めておくことで、記事の軸がぶれずに会社の魅力や伝えたい内容がはっきりします。
写真や動画を活用する
インタビュー記事を掲載する際は、文章だけでなく写真や動画も活用しましょう。社内の雰囲気や社員の表情が伝わり、インタビューの内容にリアリティが生まれます。
顔写真の掲載を敬遠する社員もいますが、写真を使う記事と使わない記事が混在すると、読み手に違和感を与えてしまうおそれがあります。可能であれば、写真を掲載しても問題ない社員にインタビューしましょう。
インタビューに答える様子だけでなく、業務に携わっている姿や、周りの社員とやりとりしている場面も撮って活用することがおすすめです。
採用サイトに社員インタビューを掲載した事例
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社員インタビューを採用サイト内のコンテンツとする企業は、年々増えています。参考になる事例を2つご紹介します。
神奈川県住宅供給公社 様
このインタビューは、もともとはパンフレットのコンテンツとして作成されたものです。神奈川県住宅供給公社では、採用サイトにも同様のインタビューを掲載することで、より多くの求職者へ向けたコンテンツとして活用しています。
内容は「子育ての経験が活かせる職場環境」や「入社から1年を過ぎて感じたこと」などさまざまです。なかには、動画が活用されている記事もあります。
いずれのインタビュー記事も社員が生き生きと活躍している様子が伝わる内容となっており、求職者の知りたい気持ちにしっかり応えるコンテンツといえます。
日興通信株式会社 様
日興通信株式会社では、リクルート用のサイトをコーポレートサイトから独立させ、リニューアルを実施しました。
求職者が入社後の自分をイメージできるようなコンテンツの追加が行われ、「働く人を知る」ページには「先輩社員の声」としてインタビューを掲載しています。
部署や性別だけでなく、趣味やビジョンなどが自分と似た社員の記事を検索できる仕組みがあり、求職者が知りたい情報にたどり着きやすいコンテンツを提供しています。
まとめ
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社員インタビューは、採用サイトや採用パンフレットにおけるコンテンツの一つです。社員のリアルな声を掲載することによって求職者の企業に対する理解を深め、応募を後押しする効果が期待できます。
インタビュー対象の選び方や質問項目などを吟味することで、より効果的なインタビュー記事が作成できるでしょう。本記事を参考に、社員インタビューの掲載を検討してみてはいかがでしょうか。
エイエイピーでは採 用サイトと採用パンフレットなど、オンライン・オフライン両軸でのシナジーを考慮したアピール戦略をご提案しています。
採用サイト・パンフレット を制作したいといったご要望がありましたら、お気軽にご相談ください。