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2023.05.09

Monthly Feature

イベント業界は今後どう変わる?アフターコロナの現状と対策

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 2023年3月、マスクの着用が個人の判断に委ねられ、5月上旬には、新型コロナ感染症の感染症法上の分類が、2類から5類へと引き下げられました。もちろん、引き続き慎重を期する必要はありますが、2019年の年末以来、3年以上続いたコロナ騒動も、ようやく一つの節目の時を迎えたと言えそうです。
 コロナ禍の期間中は、中止や規模の縮小を余儀なくされたり、厳しい制限の中で形式を変えて開催せざるを得なかったイベントも、ビフォーコロナの賑わいを取り戻しつつあります。ここで、イベントの企画・運営面での変化をまとめてみたいと思います。

Contents

イベント業界は今後どうなる?

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響下で、イベントの舞台はリアルからオンラインに移行しました。コロナ禍が終了した現在は、リアルイベントが再び普及し始めているほか、ハイブリッド型のイベントが注目されています。
 今後、これらさまざまな形態のイベントはどのようになるのでしょうか。以下では、イベント業界の今後について解説します。

アフターコロナでリアルイベントが増加している

 声出しや収容人数に対する規制が撤廃されたことにより、各種イベントがコロナ禍前と同じ規模で開催できるようになった今、リアルイベントの開催数は2019年以前の数値に迫る勢いで増加してきました。その傾向はイベントの種類によって異なります。

ライブイベントや展示会などはリアルイベント需要が高い


 コロナ禍においては、オンラインイベントを導入することによって、イベントの中止や延期などのリスクを回避してきました。しかし、参加者に商品やサービスを直に体験してもらうことができない、直接訴えかけることが難しい、といったオンラインならではの限界もありました。それを特に強く感じていたのがライブイベントや展示会ではないでしょうか。アフターコロナでイベントに対する規制がなくなった今、ライブイベントや展示会においてリアルイベントの需要が急速に高まったことは、自然な流れだといえるでしょう。

アフターコロナでもオンラインイベントに需要はある


 オンラインイベントはコロナ禍において需要が高まり、定着していきました。リアルイベント一択だった頃には、時間的・物理的制約によってイベントから遠ざかっていた層にも参加への道を拓くなど、多くのメリットをもたらしました。オンラインイベントの需要はアフターコロナでもなくなることなく、リアルイベントと共存し続けるものと考えられます。これまでに蓄積されたオンラインイベントのノウハウは、イベント市場の多様化を促し、今後も主催者側・参加者側に注目されることでしょう。

ハイブリッド型が主役に

 アフターコロナにおいて、イベントの企画・運営面で大きく変わったのが、リアル(対面式)とオンラインを組み合わせた、ハイブリッド型のイベントの割合が増えたことです。リアルイベントは、不特定多数の人にも声が掛けやすく、新たな顧客の開拓にもつながりやすい、手に取って質感を確認できる、大勢で熱量や臨場感を共有、といった大きなメリットがありますが、当然のことながら、その場に来ないとそのメリットは享受できません。一方、オンラインは、参加する側にとっては移動が最小限で済むことや、感染を心配しなくていいといったメリットがありますし、イベントを運営する側にとってはコスト削減や、一度に大勢の方に情報を発信できたり、イベントの様子をアーカイブできたりするという利点もあります。そういったことを踏まえて、双方の要素を取り入れたハイブリッド型のイベントが、定番になってきました。かつては「どっちか」が当たり前でしたから、これは大きな変化といえます。

ハイブリッド型イベントを成功させるには

 ハイブリッド型イベントには、リアル参加者とオンラインによる参加者が存在します。ハイブリッド型イベントを成功させるためには、双方の参加者に一体感・没入感を持ってもらえるよう意識することが重要です。会場に大型スクリーンを設置してオンライン参加者を映し出す、あるいは会場の照明やカメラワークを工夫するといった、参加者間の距離を感じさせない演出を心掛けましょう。また、通信環境のトラブルを回避するため準備を念入りに行うことも大切です。オンライン参加者に対しては、視聴のために推奨するネット環境を前もって伝えておきましょう。イベント当日に通信障害が起きた場合の対処法、たとえばバックアップの通信環境なども用意しておくのがおすすめです。

ハイブリッド型のイベントが活用される分野

 リアルとオンラインのハイブリッド型イベントが活用される分野は、広がりを見せています。ここでは、ビジネスとエンターテイメントにおける、ハイブリッド型イベント活用事例をご紹介します。

ビジネスイベントでの活用


 ビジネスの分野では、株主総会をハイブリッド型イベントとして開催する動きが見られます。株主総会は近年、参加者が減少する傾向にありましたが、リアルでもオンラインでも参加可能なハイブリッド型にシフトしたところ、参加者が大幅に増加するケースが多く見られました。会場に出向くのが当たり前という株主総会の常識を覆し、遠方から気軽に参加できる環境を整えたのです。コロナ禍の規制をきっかけに始まったハイブリッド型の開催は、株主総会の新しい形として広まることでしょう。このほかビジネスの分野では、全社員が集まるカンファレンス・周年イベント・表彰式なども、ハイブリッド型の開催に適していると考えられます。

エンタメイベントでの活用


 エンターテインメントの分野では、2023年6月に開催される予定の、ハイブリッド型イベント「メタ祭2023夏の陣」に注目度が高まっています。これは東京タワーで開かれるリアルイベントの模様を、ライブコンテンツとしてメタバース空間へ配信する企画で、リモート参加者はアバターを用いて現地にいるような一体感・没入感を味わうことができるといいます。こうしたハイブリッド型イベントは、遠隔地にいる参加者とのインタラクティブな交流を可能にする手法として期待されています。今後、地域のまつりや花火大会などの大規模なイベントでも、活用が進むことでしょう。

機材もスタッフも変化

 このハイブリッド型イベントが採用されることで、「音響・照明・映像」といった、イベント運営機材の御三家に加えて、「配信」という要素が加わり、安定した配信のための通信環境の整備やセキュリティの担保、新たなプラットフォームの管理、といった点も運営側に求められることになりました。そしてリアルとオンラインを破綻なく融合させ、イベントをスムースに運営していくためのスタッフのスキルの高さが、イベントの成功を左右するようになりました。

バーチャルの世界は加速するか?

 もう一つ、このコロナ禍での変化は、バーチャルな世界の拡大です。つい先ごろ、あのご当地キャラクターブームの火付け役となった「ゆるキャラグランプリ」が、リアルと3次元仮想空間メタバースと連携し、名称も「ゆるバース」と改称されて、リアルとバーチャルのハイブリッドイベントとなって、3年ぶりに復活開催すると主催者からリリースされました。7月にはメタバース上でPR合戦が始まり、10月に兵庫県内で決戦投票と表彰式が行われるとのこと。新たなプラットフォームを活用した地域振興の起爆剤としてその成果に期待がかかります。他にも、展示会、交流型イベント、住宅の見学会、観光地のツアーイベントなどでもバーチャル化の動きが活発化しており、今後の動きに注目です。

参照元
「ゆるバース」オフィシャルウェブサイト

イベント業界が持つ課題と対策

 アフターコロナの現在、イベント業界はコロナ禍前の活況を取り戻しつつあり、中でもオンラインイベントはこれまでのイベント市場にはなかった新たな需要を生み出しています。そのような中で、オンライン・リアルイベントを問わず、業界が抱える課題も見えてきました。

チケットが転売されることがある


 チケットの不正な転売は、紙ベースのチケットが主流だった頃からの課題であり、正規にチケットを入手するのが困難になったり、チケットが高額で転売されたりすることが問題視されてきました。こうした問題は2019年12月に施行された「チケット不正転売禁止法」や、電子チケットの普及によって減ってきたものの、完全になくなってはいない状況です。今後、しっかり対策を講じていきたい課題だといえるでしょう。

集客が難しい


 コロナ禍によってイベントから遠のいてしまった客足はそう簡単には戻ってこないと、懸念する声も聞かれます。リアルイベントへの集客を促すためには、オンラインイベントに馴染んだ客層に対し、会場へ積極的に出向く必要性を感じてもらえるよう、リアルイベントの魅力を訴えることが重要であると考えられます。一方、リアルイベントに誘致ができたとしても、その客足をオンラインへつなげることが難しいということも、デメリットとして挙げられます。効果的にオンラインとオフラインを繋げる集客方法を考えることが重要です。

オンラインイベントならではのデメリットもある


 オンラインイベントにおけるデメリットとして第1にあげられるのは、商品やサービスに直接触れられないという点です。どんなに一体感が生まれるよう演出しても、リアルイベントと同じような臨場感は得られません。また、通信環境によって生じる音声と映像のずれも問題点の1つです。これによりコミュニケーションを困難に感じる面もあり、場合によっては通信障害が原因で配信が途絶えてしまうことも考えられます。また、参加者が配信を視聴しにくい、あるいは興味が持てないと感じた際には、オンラインから容易に離脱されてしまう懸念もあります。通信環境の問題に関しては、インターネット環境の整備や配信技術の向上によってカバーすることが可能なので、できる限り対策をとりましょう。

イベントの目的を明確にしよう

 リアルにはリアルの、イベントの良さがあります。先ほど申し上げた、熱量や臨場感、香りや感触といった感覚的なもの重要視するのであれば、リアル開催の方が理にかなっているかもしれません。一方、情報を一方通行的に発信する形式の講演やセミナーなどは、余程のことが無い限り満席の聴衆で会場を埋める、という事は難しくなってしまうでしょう。このような場合はオンライン化に運営をシフトしたり、リアル開催との相乗効果を生む手法を導入したりする工夫を加えることで、成果につながるかもしれません。
 コロナ以前に戻すことを考えるのではなく、イベントを開催する目的や成果をゼロベースで考え、最適な手法を柔軟に取り入れていくことが我々のような企画・運営側にも、主催をされる側にも必要になってきたといえそうです。

 今はまだ、マスク着用派が多いですが、たとえマスク派がゼロになったとしても、進化し多様化したイベントのスタイルが元に戻ることは無いと言っていいでしょう。
 エイエイピーは、目的や条件に応じて、最適なイベントの企画・運営をサポートさせていただきます。お気軽にお問合せください。

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