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2023.03.22

Monthly Feature

選ばれる学校とは?「スクールブランディング」を考える。

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現代の18歳人口は、115万人前後。この30年間で半数近くまで減ってしまいました。一方、大学の数は、そんな現象とは反比例するように増加傾向にあるといわれています。そんな群雄割拠ともいえる現代の、学校のブランディングについて考えてみます。

Contents

若者の人口は減り続けているのに、なぜ?

1992年の205万人をピークに、18歳人口は減少を続けており、約10年後の2032年付近で100万人近くまで減ってしまうという見方もあるようです。一方、現在の公立・私立を合わせた大学の数は800校と、市場の縮小とは別軸で増加しています。このようなことはなぜ起きているのでしょうか?一つの要因は、学問分野の多様化にあるようです。教育事業大手の旺文社の資料によると、日本の大学で学べる学科で最も多いのが、経営学・経営情報学・商学・会計学で、次いで医療・保健学となっており、医療・保健学は、この3年間程度でもっとも増えた学問分野となっているそうです。少子高齢化社会の影響がこういった教育の場にも大きな変化を与えていることがわかります。

選ばれる学校になるために必要な’ブランディング’

市場(ターゲット人口)が減少しいているにもかかわらず、その行き先である大学の数が増えているのですから、大学間の生徒獲得競争が激しくなるのは、至極当然の原理です。加えて、コロナ禍や教育環境の変化も、競争と個性化に拍車をかけた感があります。このような状況下で大切なのが「ブランディング」という視点です。ブランディングとは、他と明確に区別され、その学校ならではのもの、と認識されるための取り組みのことを指し、「自らが伝えたい価値と、それを受け取る側がイメージする価値を一致させる」という立ち位置で事象を捉えることが重要です。

自らが伝えたい価値を明確に

無形でなんとなくつかみどころのない、ブランディングですが、このブランディングに取り組んでいくうえで、最も重要なのは、言うまでもありませんが「自らが伝えたい価値」を、きちんと整理することです。この点を曖昧なままにして、表面的なアウトプットに取り組んでしまうと、実態とはかけ離れたイメージが拡散され、むしろブランド価値を棄損してしまう可能性もあります。まず、建学の精神や理念、教育方針、ヒストリー、ビジョンなどの学校形成の基礎となる価値を細部に至るまで再認識したうえで、それらがいま、どのように世の中に受け止められているのかをなるべく正確に計るのが、ブランディングの第一歩といえそうです。

即効性は求めない

とはいえ、ブランディングに取り組んだからといって、すぐに飛躍的に受験者数が増えたり、今以上に優秀な生徒が大勢集まったり、といったことが起きるわけではありません。だからといって、取り組みをストップしてしまっては、それこそ水の泡です。信頼や共感といった目に見えない価値を浸透させていくためには、相応の時間が必要です。絶えずやり方の工夫は必要ですが、いたずらに短期間でトーン&マナー(我々の業界ではトンマナと言ったりします)を変化させたり、タッチポイントをコロコロ変えたりすることは、かえってブランドの構築を遅らせることになりかねません。「ローマは一日にして成らず」のことわざの通り、ブランドの醸成といった大きな取り組みは、短期間では達成できないものです。

自分よがりは禁物

さて、ブランディングの重要性について書いてきましたが、最後に、見落としがちなポイントを一つ加えます。それは「自分よがりにならない」ということです。大学であれば、ターゲットを16歳から18歳に据えたとします。この層に、専門性の高さやキャリア教育の充実といった特色を、そのままダイレクトに発信しても、あまりピンとこないかもしれません。保護者の方がどう受け止めるか、教育関係者からどういったシンパシーを得ることができるのかなど、どういったステークホルダーの方々に向けて発信するものなかを、きちんと見極めていく必要があります。また、今では大学生時代を社会に出るための「モラトリアム期間」と位置づけることが多くなったようです。そのようなこともふまえて、自校の価値の発信を考えていくことが大切です。

今回は、学校(主に大学)のブランディングについて、初めの一歩的な考え方をご紹介しました。いろいろなデータなどを見ていると、やはり「誰かに勧められて学校を選んだ生徒さんより、自らが主体的に学校を選んだ生徒さんの方が満足度が高い」という傾向があるようです。満足感の高い生徒さんは、卒業後もその学校によい影響を与えてくれる可能性が高いと考えられます。’選ばれる学校になる’、とても重要なポイントですね。

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