2023.01.24

Monthly Feature

紙媒体は本当にオワコンなのか?

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「紙媒体はオワコン」「印刷物は絶滅危惧種」・・・こんな言葉がネット上では飛び交っているようです。しかし、本当に紙媒体は、世の中に無用なものとして消え去ってしまうのでしょうか?印刷物の制作’も’大得意な、エイエイピーが、紙媒体とデジタルメディアの融合について考えてみます。

Contents

紙媒体は本当に減っているのか

まず、本当に印刷物は少なくなっているのだろうか、ということを少し調べてみました。消費金額ベース、新聞や雑誌の発行部数の推移など、様々なデータがあり、なかなか単純比較は難しいのですが、一例として、新聞の発行部数をみてみましょう。(一社)日本新聞協会が発表しているデータによると、2021年の新聞の発行部数はおよそ3,300万部。2000年代には5,000万部以上でしたから、40%近く減少していることがわかります。雑誌の現状は更に厳しい様相で、数年前にはアメリカの雑誌「ニューズウィーク」が電子版に全面移行したり、「プレイボーイ」の印刷版が廃刊になったりしたことがニュースになりました。日本でも、つい先ごろ、創刊100年の歴史を持つ「週刊朝日」が2023年の春をもって休刊すると発表されました。これらのことを見ると、確かに印刷物の数は減少基調にあり、それは続くものだとする向きが多いのも事実です。しかし一方で、数が減ったということと、価値が下がった、ということは必ずしもイコールではなく、むしろデジタルとの相乗効果によって、紙媒体の重要性が増してきている、という考え方もあるようです。

紙媒体のメリットって何だろう?

その重要性を考える前に、改めて紙媒体の特性やメリットについて整理してみましょう。まず、すぐ思いつくのは保管と一覧や視認に優れているということ。必要なものや興味のあるも選んで手元に置いておくことができ、なおかつ、たくさんの情報にササっと目を通し、どこにどんな情報が載っているのかを把握しやすいということ。あとは、材質・形状・デザインなどの自由度が高く、品質感を伝えやすいということ。これは物体として手に取ることができる印刷物の圧勝ですね。信頼性、という点でもまだ若干優勢という感じでしょうか。他方、重くて場所を取るので運ぶのが大変、一度作ってしまうと修正が大変、即時性に劣る、拡散力が弱い、成果が把握しにくい、などのデメリットもあることは認めなければなりません。昨今では、多くの森林資源を使っている、という面にも目が行きがちです。

紙とデジタルの融合の可能性は?

そのようなことをふまえて、一旦、スタートに戻ります。「紙媒体はオワコンなのか?」。エイエイピーの答えは、「ノー」です。ではなぜ、紙媒体はなくならないのか。それは、ごくシンプルに’必要だから’です。大手の通販会社を例にとってみましょう。このデジタル全盛時代に、多くの通販会社では今でもカタログを作り、ダイレクトメールを送り、時にはチラシの折り込みを続けています。なぜでしょうか?それはまさに売上を上げるために’必要なメディア’だからです。最先端のデジタルマーケティングによって、消費者の価値観や行動を解析し、需要の喚起と購買に結び付けるための最適解として、印刷媒体を採用しているというわけです。このことは紙媒体とデジタルは、融合していくことによって効果が相乗的に上がっていくという、ひとつの証明でもあります。

共に進化させることがポイント

もう少し、通販会社の例を紐解いてみます。通販で買い物した場合、以前はごっそりいろいろな種類のカタログが送られてくるのが通例でした。中には、まったく興味のないアイテムも多く含まれていて、今から考えるとずいぶん無駄だなぁ、と思います。今ではそんなことはありません。年齢、性別、購買履歴やサイトの閲覧傾向、季節性などのデータに沿って、セグメントされた商品情報カタログが届くだけでなく、いいところまで行ったけど買ってくれなかった、いわゆる「カート落ち」と言われる層に、リマインドのDMを郵送したりするようなことが普通になりつつあります。アプリを起動してカメラで買いたい商品のページをカシャとするだけで注文ができるやり方も珍しくありません。このように、デジタルと紙媒体の機能を共に進化させていくことが、ビジネスの拡大につながっていくのです。

’トリガー’を見逃すな

マーケティングの世界では、長らく、認知から購買に至る行動パターンを示す「AIDMA(アイドマ)の法則」という考えが広く支持されてきました。しかし、気になったものは、移動中やまちなかであっても、スマホでポチっと買ってしまう(グーグルはこういう消費行動を「パルス型消費」と名付けているらしいです)ことが増えた昨今では、このようなAIDMAのマインドジャーニーが当てはまらないケースも出てきているようです。パルス型にせよ、AIDMA型にせよ、商品やサービスを買ってもらう、観光のような形で人々に訪れてもらう、こういった行動をする前には、必ずきっかけ、いわゆる’トリガー’が存在しているはずです。このトリガーを適切に見極め、デジタルと紙媒体を駆使して消費者にアプローチしていくことが大切といえるでしょう。

今回は、紙媒体とデジタルとの共生についてご紹介をしました。どちらにもメリット・デメリットがあり、一面的な優劣だけで判断をするのは早計というものです。何か情報を発信しようと思いついた際に、デジタルの方が相応しいのか、紙媒体の方が効果が期待できるのか、それらをきちんと判断したうえで施策を展開していくことが大切です。

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